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水素ガス雲は天の川銀河の外から

Posted in 銀河系関連 on 2024年3月10日 by けろけろ

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私達が属する天の川銀河。暗黒物質を除くと星とガスで出来ています。そのガスの大部分を占めているのは水素原子です。放射している電波を観測すると、いろいろな情報を知る事が出来ます。

地球からの観測では、天の川銀河の水素ガスは回転運動しています。しかし、一部は全く違った運動をするガス雲もあります。

そんなガス雲は、銀河ハローにあり銀河の円盤部分に向かって落ち込むような動きをしています。天の川銀河の進化にも深くかかわっていると考えられていますが謎も多い。

ガス雲の起源を考えると、含まれる重元素が重要です。

重元素は星の内部の核融合反応や超新星爆発でのみ作り出されます。天の川銀河の中を循環しているガスは重元素が多い。一方、外から飛来するガスには重元素が少ない。

銀河ハローに落ち込むガス雲には、100キロメートル毎秒のスピードの高速度雲と30~100キロメートル毎秒の中速度雲があります。

中速度雲の重元素は我々の太陽系周辺のガスとほぼ同じと観測されていました。銀河内の超新星爆発などで吹き飛び再び銀河へ落ちて来ていると考えられます。

一方、高速度雲の重元素は非常に少ない。原始的なガスが天の川銀河へ外から降り積もっている物だと考えられます。

しかし、観測にはガス雲の背景に明るい光源が必要で、明るい銀河や星が背景に必要でした。そのため観測例は少なく2000年以降研究は進んでいなかった。

サブミリ波を放射する星間塵(ダスト)や21cm線を放射する中性水素原子を利用して天の川銀河の中速度雲と高速度雲の重元素量が調べられました。

様々な研究の結果、中速度雲は太陽周辺のガスと重元素量がほぼ同じと考えられて来ましたが、多くが重元素量の少ない原始的なガスである事が導き出されました。これは、いままでの説をくつがえす事になりました。

中速度雲も銀河の外からやって来た物だが、高速度雲が銀河円盤のガスと相互作用して減速。混ざりつつあるものが中速度雲として見えていたと考えられます。更に研究が進む事に期待が膨らみます。